【編集後記】東雲さんに聞いてみた ♯03

皆様、こんばんは。管理人のみゅうです。

先日公開したインタビュー、前編後編ともにご覧いただき改めてありがとうございます。
ご感想も多数お寄せいただきまして、記事を書いてよかったと嬉しく思っています。読んでくださった方へ、心より御礼申し上げます。

今回はインタビューシリーズの締めくくりに、編集後記をお届けします。
編集後記と言いつつ、インタビューに関しての管理人の感想文になってしまったのですが、もしよろしければお付き合いください。


この度インタビューを担当させていただけることになり、最初に考えたのは「インタビューって何をどう聞けば良いんだろう?」ということでした。
そもそもそこからかよ!というツッコミの声が聞こえる気がしますが、こういう形で人とお話しするのが私にとっては初めての経験だったので、事前準備はこの「そもそも」を考えることからスタートしました。

私は本業の仕事柄、日頃から相談事を聞くことは多く、誰かのお話を聞くことそれ自体は好きです。まして東雲さんはとてもお話上手な方なので、東雲さんに自由にお話しいただいて、私がそれをふんふんと聞くだけでも成立するだろうなぁ…とも思ったのですが、それではせっかくのインタビューの機会を100%活かせたことにはならない気がしました。

色々考えた結果、聞き手として初心者ではあるものの、話し手である東雲さんと、読んでくださるファンの方、双方が読んで納得するものを作りたい、ならばまずは聞き手としてのスキルを勉強してから臨みたいと思ったので、インタビューに関する書籍をいくつか読みました。
そうしたら思いの外、その本がとっても良くて、今後の人生の参考図書として私の心にブッ刺さってしまったので、この場を借りて皆様にも2冊ご紹介したいと思います(東雲さんのファンサイトなのに突然始まるブックレビュー、お許しください)


■阿川佐和子「聞く力 心をひらく35のヒント」(文春新書)
https://amzn.asia/d/9EQBh3X

この本はきっとご存知の方も多いのではないでしょうか。
いつも自然体で朗らかな対談がとても素敵な阿川佐和子さんの、インタビュアーとしての経験と面白おかしい苦労話をまとめた一冊です。

阿川さんのインタビューは、視聴者目線だとインタビュアーとインタビュイーが対等というか、阿川さんもゲストの方に負けず劣らずよくお話しになる印象だったのですが、ご本人は「自分が喋りすぎること」が悩みの種だったそうです。
阿川さんの語り口が好きな私としてはこの悩みを意外に思ったのですが、確かに、インタビュアーがとうとうと喋りまくって、肝心のゲストが全然話せなかったら、それはインタビューじゃないですものね…。

でも、相手から話を聞き出そうと一生懸命に質問攻めにするのも、それはそれで窮屈に感じてゲストとしては話しづらいもの。用意した質問でギチギチに固めても、予定調和的で面白みがありません。
インタビュアーとしての在り方について、あの阿川さんですら、お仕事が入るたびに相当に悩んでいらっしゃった様子が本を読んで窺い知れました。

紆余曲折を経て阿川さんが見つけた阿川さんなりのソリューションは、話し手がふと発した言葉や態度に素直に反応すること、時には予定していた話から脱線してしまうかもしれないけれど想定外を恐れないこと、その時その時の相手の表情や雰囲気を見逃さないで「おや?」と敏感に感じ取ること、想定外にこそ本当のその人らしさが垣間見えることがある、というものでした。

他にもインタビューの方法論的な、テクニック面での示唆にも富んだ一冊でしたが、私は阿川さんが目の前の人に向けているありのままの感情、温かみのある好奇心がすごく素敵だなぁと思って、私も自分の中にある東雲さんに対しての「おや?」を起点にしてインタビューを組み立ててみたいという気持ちになりました。

■宮本恵理子「行列のできるインタビュアーの聞く技術 相手の心をほぐすヒント88」
https://amzn.asia/d/2zyqAHC

阿川さんの著書のテーマが「力」であったのに対して、宮本さんの著書は「技術」、つまりテクニック面での情報が多く大変参考になりました。
インタビューってあちこちでやってるはずなのに、実はテクニック向上のためのハウツーはあまり出回ってないので、具体的な実践が載っている本書は貴重な一冊だなと思いました。

宮本恵理子さんもインタビューの名手として有名な方で、宮本さんのインタビューを受けた方からは「是非また宮本さんに話を聞いてほしい!」「話したことで自分でも気付けなかった素の自分に気付けた!」とご指名で依頼が来ることもある程だそうです。すごいな…。

本書の中でインタビュー初心者の私に一番刺さったのは「言語化をアシストすること」そして「安心して話してもらえるように準備を徹底すること」という項目でした。
これをヒントに実際にやってみた行動はいくつかありますが、ここでご紹介できるものとしては、「企画書を事前に用意してお渡しした」ということと「インタビューの時はできるだけ相手の言葉をリピートする・別の表現で言い換えた」ということでしょうか。
この2点が実際どのように作用したかは分かりませんが、ただただ一方的に相手の言葉を聞くのではない、双方向のやり取りを成立させる一助にはなったかなと思います。

また、「安心」というのは、話し手と聞き手との間に信頼関係が築けるかどうかにかかっているということも書かれていて、これもまた大事なポイントだなと思いました。
技術的に「安心」や「信頼」を演出する方法も色々と載っていましたが、本当の「安心」「信頼」というのはテクニックでコントロールできるものではなく、やはり「相手に関心をもち、敬意を払う」というのがスタートラインなのだと、この本を通じて改めて気付かされました。

この心持ちは先ほどの阿川さんの著書にも通底する考え方だと思いましたし、インタビューという形式に限らず、世の中のあらゆる人間関係において一番大切なことだと実感をもって体験できたことが、私にとって最大の収穫であったと思っています。


唐突にブックレビューになってしまいましたが、インタビューの準備段階における読書体験をぜひ書き残しておきたかったので、ご紹介させていただきました。(東雲さんそっちのけで申し訳ないです)

最後に、話し手としての東雲さんについて、聞き手ビギナーとして接した感想を。

東雲さんとは、Zoomでお話しさせていただきましたが、映像なしの音声のみで、電話インタビューのような形を取りました。
思い返しても不思議なのですが、電話という相手の表情や動きが分からない状況でも、こんな風に他者と話ができるんだな…というのが率直な感想で、そう思えたのはひとえに東雲さんの対人スキルと、優しさのお陰だと思っています。

この場を借りて改めて、心からの御礼を東雲さんに送りたいと思います。

書いた記事が、いつかこの先ファンになるであろう方々にも届いて、東雲さんの魅力が多方面に伝わっていくといいなと願っています。

管理人より

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